みやぎ生協は震災後、県内4カ所(県北、石巻、仙南、仙台)にボランティアセンターを設置しました。
今回は、県北ボランティアセンターの活動を紹介します。
みやぎ生協理事
(県北ボランティアセンター長)
春日 京子さん
被災された皆さんが少しでも
「ほっと」できる場の提供を、生協ならではの活動として細く長く続けていきます。
県北ボランティアセンターは、気仙沼市と南三陸町を担当しています。震災当時は大津波と火災の被害により、組合員の安否も不明という状況でしたが、少しずつ生活が落ち着いてきた20人がボランティア活動に手をあげ、活動がスタートしました。
被災者と、被災者を支えている方を対象に、おしゃれをして自分を取り戻し、会場までの道すがら季節を肌で感じ、おしゃべりをしながら「ほっと」する、そんなひとときを楽しんでもらえたら、との思いからお茶会を始めました。
お茶会の中で出された「仮設住宅は同じ造りで自分の玄関が分からない。『表札』があるといいね」の声に応え、「割り箸で作った表札」に、みんなが持ち寄ったビーズやコーヒー豆などで飾り付けた、世界でひとつだけの表札作りも行いました。「震災後、下を向いている時間が多かったけれど心が癒された」「うつになりそうな毎日ですが、孫娘と一緒に作る楽しみができ、前に一歩進めそう」などの感想が聞かれました。
「仮設住宅はプレハブで、寒さが部屋の中に伝わりやすいので、身近な物や今ある物を上手に使って冬を暖かく過ごすヒントを伝えられたら」と考え、環境グループ「青空エコカフェ」の協力を得て、扇風機を使って部屋の空気を循環させ、天井と床の温度差をなくして部屋全体を暖める方法など、いろいろなヒントをお知らせしました。
「扇風機は夏だけのものかと思っていたけれど、年中使えるのが分かった。効果的な使い方を教えてもらったので早速やります」との声をいただきました。
また、大人だけではなく子どもたちにも「ほっと」してもらえる場や、思いっきり身体を動かし遊んでもらえる場を提供しようと、「子育てひろば」を6月に再開しました。気仙沼にある組合員集会室「ぽけっと」や仮設住宅の集会所をお借りした「ミニミニ運動会」では、親子ともども久しぶりに大きな声を出し、走り回る笑顔がたくさん見られました。
気仙沼市災害ボランティアセンターとも時々情報交換を行っています。
「がれきの山を毎日眺め、重機の音や悪臭に悩まされて体調不良です」という被災者の声を受けて、住民の健康調査をお願いしたり、お茶会での様子や私たちの考えていることを伝え、情報・意見交換をしながら協力して仮設住宅でのお茶会を行ったりしています。
被災した皆さんからは、前向きに進んでいこうとする様子が感じられます。しかし、時には「当時の映像を見ると、胸がつまり、何度も思い出して眠れない。まだ、何も考えられない、思い出したくない」という声も聞かれますが、「でも全国から応援してもらっているから、泣いていられない、がんばんないと申し訳ないもんね」と気丈に話してくれます。
町の復旧・復興への直接的な手伝いはできないけれど、被災された皆さんが少しでも「ほっと」できる場や、「生きていてよかった、明日も生きよう」と思ってくれる場の提供を、全国の仲間からの支援をいただきつつ、生協ならではの活動として細く長く続けていきます。そして、「もう大丈夫だよ」と心からの笑いが戻る日まで、みやぎ生協県北ボランティアセンターはそっと寄り添い、活動していきます。
※お便りは、2011年11月時点の情報です。