いわて生協
宮古コープ理事
香木 みき子さん
『協同の力』で、寄り添い、支え合い、長い道のりを一歩一歩乗り越えていきたいと思います
現在の宮古市は「震災から7カ月しかたっていないのか」と思うほど、外見は復興が進み、震災前と全く同じとまではいきませんが、宮古の街が戻ってきました。
がれきは早い段階で片づけられ、一カ所に集められています。そのがれきの山を見るたびに、津波の脅威を思い知らされます。
市内の公園はほとんどが仮設住宅になり、避難所よりも仮設住宅の方が被災者の方は落ち着けると思いますが、これから来る東北の冬の厳しさを思うと、何かできることはないかと考えさせられます。
今まで閉まっていたお店の再開や、プレハブで再開しているお店も見られ、もう一度やり直そうという強い気持ちが伝わってきます。しかし、やはりすべてが元通りとはいきません。7カ月たった今でも稼働していない信号、つながっていない線路、明かりの少ない夜……。そして、被害の大きかった地域は、私の実家もですが、家の基礎だけが残った何もない平地になっています。
震災後、いわて生協の店舗は利用客数が増えましたし、宅配も仮設住宅の方の新規加入が増えて、利用は前年を上回っている状態です。それは、震災後すぐに、全国の生協による炊き出し応援、移動販売、物資支援、共済などあたたかい支援があったおかげだと感謝しています。
しかし、いわて生協だけ元気になっても意味はありません。
今、組合員活動として役職員と一緒に取り組んでいることは、「地域の復興」です。地域の経済がよくならないと、若い人たちは地元を離れていきますし、働き盛りの年代が職を失い、出稼ぎに出ざるを得なくなると、人口も減っていきます。
とにかく、わたしたちに今できることを考えて、みんなで一緒に地域を盛り上げようと、11月初めに、いわて生協の店舗であるマリンコープDORAの2階駐車場で、地域の商店、他団体、生協のお取引先の皆さん、地域の芸能団体などに呼びかけて、「笑顔・元気・絆」をテーマに復興まつりを開催することにしました。今まで交流がなかった地域の業者さんにも声をかけました。
わたしたちが応援して一緒に商品を売ったり、来場した組合員さんと楽しいひとときを共有し、地域がひとつになれたらいいと思います。
震災のことが薄れつつあるとも感じます。もう支援は要らないだろうと思っている方も少なくないと思います。しかし、被災地はまだまだ支援を必要としています。
環境に慣れて、周囲の人との付き合いもうまくいっている方もいる反面、落ち着いたからこそ、ご家族を失った寂しさや孤独感を増している方、生活に不安を抱いている方がたくさんいます。これからは、心のケアや、地元への経済的支援がますます必要だと思います。
一番大切なのは「命」です。助かった命を自ら消すことがあってはなりません。「協同の力」で、寄り添い、支え合い、長い道のりを一歩一歩乗り越えていきたいと思います。
みなさんの応援、励ましの声が、わたしたちにとって、とても大きな支えになります。
まだ、忘れないでいてほしいと思います。
※お便りは、2011年10月時点の情報です。
「かけあしの会」とは、いわて生協マリンコープDORAを活動拠点とした復興プロジェクト。被災者のために、スピードを上げて取り組むことが大切と考える仲間たちの集まりです。詳しくはこちらをご覧ください。