復興に取り組む生協からの声〜生協にできること〜 【第7回】コープおおいた組合員による、コープふくしま訪問・交流会  交流でつなぐ福島と大分の復興への心

知ろうと努め、信じてくれる人がひとりでもいれば

震災発生直後の2011年3月末、コープおおいたは福島に人的支援を行った。約20日間にわたり、第1陣から第4陣まで計15名が福島を訪れ、支援物資(食料や水などの生活物資や灯油など)の搬送や店舗支援などを実施した。
コープおおいた青木博範(あおき ひろのり)専務理事も、第2陣のメンバーとともに福島を訪れ、支援活動に参加。4月2日に行われた福島県南相馬市での出張販売などを通して被害の大きさを直視し、また震災対策本部で最善を尽くすコープふくしまの職員の方々の熱意に打たれ、継続的な支援を決意した。

コープおおいた 専務理事 青木 博範さん

コープおおいた
専務理事
青木 博範さん

「福島の方から直接お話を聞く機会を設けることが、継続的な支援を続けていく上でより重要だと考えました」

「福島と特別な関係があったわけではありません。でも、支援で出会った福島の生産者の方が『これから東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の影響が広がることは間違いない。風評被害も出るだろう。でも、本当のことを知ろうと努め、その上で自分たちの生産物を信じて買ってくれる人がひとりでもいれば、自分たちはその人たちのために生産を続ける』と話してくれたんです。そうした方々を支えることこそ、生協がすべき仕事だと思いました」
と、青木専務は語る。
以降、大分に戻ってからも福島と連携を密にし、支援の形を模索し続け、今も継続的に福島を訪れている。

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桃の産地訪問と、コープふくしま組合員さんとの交流会

総勢37名のコープおおいた関係者が福島県を訪れた。

2011年8月24日、コープおおいた組合員、職員、お取引先の総勢37名が、飛行機とバスを乗り継いで福島に到着した。
今回の福島県訪問は、コープおおいたの組合員に現地の空気を肌で感じてもらい、地元に戻って周囲の人に各自の感想を伝えてもらうことで、福島が置かれた状況を大分の人々に広く知らせ、支援を加速させることを目的に行われた。

「最初は現地で何かボランティアをしたい、という声も多かったのですが、コープふくしまの皆さんと話し合った結果、事実をしっかり知る機会、福島の方から話を聞く機会を設けることが、今後、継続的な支援を続ける上でより重要だという結論に至りました」と青木専務は話してくれた。

桃の甘い香りが広がる選果場。果肉はみずみずしく、すっきりとした甘さ。

1日目は、JA伊達みらい桑折(こおり)総合支店を訪問。ちょうどシーズンを迎えた福島県の名産品である桃の選果場で選別作業を見学した。また出荷価格下落の実情などを職員の方々から聞いた後、「川中島白桃」を試食。実際に桃がなっている農場の様子も見学した。

交流会には大勢の方が参加し、会場はよりにぎやかに。

夜は、コープふくしまの組合員やお取引先が加わり、約80名が参加しての交流会が開催された。
コープおおいた組合員より寄せられた福島支援指定募金100万円が贈呈されたほか、両県の郷土料理やご当地クイズ、福島わらじまつりで踊られる「わらじ音頭」などで交流を深めた。

左:両県の参加者で乾杯。郷土料理を味わった。 右:ご当地クイズで会場は大盛り上がり。

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テレビでは分からなかった〜福島県沿岸部の視察

相馬市教育委員会教育長の安良紀男さん(右端)と。組合員から寄せられた160台の扇風機と「豊後梅」の苗木などを贈った。

2日目は、福島県沿岸部・浜通り(相馬市、新地町)へ。事前のヒアリングで、相馬市教育委員会から「不足している」という情報を得ていた教室設置用の扇風機を相馬市に、また義援金を新地町に、さらに両市町に記念樹の苗と花の種を届けた。贈られた苗木は大分発祥の「豊後梅」。これは福島の名産品の「高田梅」のルーツともいわれる品種で、両県の縁にちなんでセレクトされた。

相馬市市役所では、安良紀男(あら のりお)教育長より、
「福島県では、地震・津波のほかに放射能の問題があります。現在の数値は低くなっていますが、大変心配されている保護者が多く、子どもたちの将来があるのでできる限りのことをやっていきたいと考えています。5カ月が過ぎましたが、子どもたちは元気です。今後ともよろしくお願いします」とご挨拶があった。

新地町町長・加藤憲郎さん。

また、新地町役場では、加藤憲郎(かとう のりお) 町長より
「県外のスーパーなどで『福島ナンバーの方は停めないでください』と断られた、そういう現実があります。福島県産というだけで、商品の購入を控えられることが多発しています。そんな中、全国から福島を応援しようと協力していただいている方々もおられます。大変ありがたく思います。原子力発電所の事故によって起こった様々な災難をわれわれは乗り越えなければなりません。これから先、復興した新地町を皆さんにお見せできるようにがんばってまいります」とご挨拶があった。

多くの船や家が放置されたままの状態。

福島市から浜通りまでの車中では、コープふくしま野中俊吉(のなか しゅんきち)専務ほか、職員、組合員の方々が、3月11日からこれまでの体験、また放射性物質に対する知識について、大分からの参加者に語り部となって「今の福島」を生の声で話された。

海水面に浮かぶバスが、事態の深刻さを物語っている。

参加者は、大きな被害を受けた松川浦周辺など沿岸部の被災地を、車中から視察。水没したままの農地、海水面に浮かぶバス、基礎部分だけが残っている住宅、ぺしゃんこになった自動車がいまだそのままの風景を、参加者はじっと見つめていた。特に、被災地と海岸線の間の距離感について
「テレビでは分からなかった。こんなに遠くまで津波がくるのか・・・」と驚く声が聞かれた。

コープおおいたの3つの支援

「今後も継続的に交流の機会を持ちたい」とコープおおいた青木専務は話す。こうした「交流支援」のほか、「季節ごとの福島県産品の買い支え」「大分県での放射性物質勉強会の実施を通し、理解を深める」という3つの支援を考えている。
さらに、コープおおいた青木専務とコープふくしま野中専務は、福島と大分の間にできた絆を生かし、両県に住む子どもたちの交流を図る企画なども計画しているそうだ。コープおおいた太田昭子(おおた あきこ)理事は、
「本当にいつでも受け入れる体制はできているので、安心して大分にリフレッシュしに来てほしいです」と話した。

コープ大分

コープおおいたとコープふくしまの交流活動について、詳しくはこちらをご覧ください。

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