復興に取り組む生協からの声〜生協にできること〜 【第6回】みやこ映画生協・被災地での無料巡回上映会 映画の力で、心の支援を

映画館に来られないなら、映画を持って行こう

2011年3月11日、未曽有の震災、大津波に襲われた宮古市。みやこ映画生協の映画館が入っている、いわて生協の店舗「マリンコープDORA」は被害を免れ、映画館も大きな被害はありませんでした。しかし、市内の現状を目の当たりにし、『こんな時に映画なのか…』と営業を再開すべきか悩む中、組合員から「子どもが楽しみにしています」という問い合わせを何件かいただきました。
 

「そうか、毎年恒例の“春休み映画”を待っている子どもたちがいる。こんな時だからこそ、映画だろう」と、3月26日に映画館の営業を再開しました。久しぶりにスクリーンに映し出された映画に、家族連れからは「再開してくれてありがとう」という言葉もいただき、職員一同感激しました。

みやこ映画生協理事シネマリーン支配人 櫛桁 一則さん

みやこ映画生協理事
シネマリーン支配人
櫛桁 一則さん

みやこ映画生協とは、市民活動によって生まれた日本で唯一の「映画の生活協同組合」です。そして、「みやこシネマリーン」は、岩手県沿岸部唯一の映画館として人々の憩いの場になっています。

映画館所在地/
岩手県宮古市小山田2-2-1
マリンコープDORA2階



しかし、映画館に来られる人は一握り。被害の大きな地域では、映画どころではない状況です。テレビをつければ震災特番ばかりで、大人でも滅入ってしまう映像の数々を見ながら、子どもたちはどうしているのだろう…と考えるようになりました。
映画館に来られない状況なら、いっそ映画を持って行こう!つらい現実の日々、ほんの2時間でも楽しい時間〈映画〉をプレゼントしたい。全国からの支援で食料などは行き届いてきていた折、『映画でお腹を満腹にはできないけれど、心は満腹にできる』と思い、動き出しました。

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多くの人の支援で、無料巡回上映が実現

ノートや鉛筆、駄菓子などのプレゼントに子どもたちは大喜び。

通常の劇場経営も厳しい中、さらに無料の巡回上映を行うのは困難でしたが、活動支援の募金と学校への文具類の寄付をインターネットなどで呼びかけたところ、全国から温かいメッセージとともに支援が集まりました。映画会社から作品をいくつか無償提供してもらい、いわて生協をはじめ多くの団体から大きな支援もいただいています。

小学校の体育館で、たくさんの小学生が楽しい時間を過ごしました。

5月初旬、田老地区の避難所「グリーンピア三陸宮古」から巡回上映会はスタートしました。宮古市内の小学校や避難所、遠くは野田村、大船渡市まで、被災した沿岸8市町村・26カ所で開催し、延べ2,000人(8月9日現在)を超える方々に映画を楽しんでもらい、文具類も子どもたちに届けることができました。

いよいよ上映がスタート。スクリーンをじっと見つめます。

映画館に勤める方やボランティアの学生さんが、夜通し運転したり、夜行バスを乗り継いで東京や京都から手伝いに来てくれたりと、本当にありがたかったです。

真剣に映画に見入る保育園の子どもたち。楽しい場面では、自然と笑顔がこぼれます。

上映会場では、目を輝かせてスクリーンにくぎ付けになる子、画面に向かって応援する子、テーマ曲が始まると手拍子しながら大合唱が始まったり、会場が笑いに包まれたり…あらためて映画の力を感じました。「楽しかった」「ありがとう」の言葉にこちらも嬉しくなります。

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何をもって“復興”といえるのかは分かりません。しかし、それに長い年月がかかることは確かです。これからの未来をつくっていく子どもたちが大人になったときに「震災の時、学校に映画生協が来て上映してくれた」「みんなで映画を観て楽しかったな、元気がでた」と、いつまでも心に残る、そんな活動をしていきたい。映画文化を通じて、さまざまな形で心の支援ができればと思っています。

幼稚園での上映会後にプレゼントされた、園児たちからのお礼の手紙。可愛らしい感謝のメッセージに、胸が熱くなりました。

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