復興に取り組む生協からの声〜生協にできること〜 【第10回】タオルがつないだコープあいち復興支援の旅 愛知から岩手へ往復1,800kmの旅に39人が参加

コープあいちは、津波で深刻な被害を受けた岩手県気仙沼地区(大船渡市、陸前高田市、住田町)で復興支援に取り組んでいる。
その一環として、2011年10月28日〜30日にかけて、第1回「被災地をめぐる復興支援の旅」を行った。これは、被災地で復興に取り組む地元ボランティア団体からの、「被災地の現状を多くの人に見に来て欲しい」という呼びかけに応えたもので、全5回を予定している。

タオルをきっかけに広がる交流

海藻や木の枝などで荒らされた海岸を清掃する。

10月29日の午前は、津波の被害にあった碁石海岸(大船渡市)で、地元のボランティア団体「椿の里・大船渡ガイドの会」(以下「ガイドの会」)の皆さんと一緒に清掃活動を行った。
コープあいちは震災後、気仙市民復興連絡会に加わって活動を行う「ガイドの会」へ炊き出し用の食材を提供し、また、組合員から集めた23万枚のタオルを被災者に直接届ける活動を、この会にお手伝いいただいた。

「ガイドの会」副会長・事務局長の佐々木紀子さんは、「各地の炊き出しと平行して、避難所や仮設住宅の皆さんを訪ね、タオルを直接配布しながら近況や要望を聞いたことによって、私たちも被災者の方との交流が持てるようになった」と言う。

左:碁石海岸は国の名勝・天然記念物に指定されている絶景。右:協力して、本来の美しい姿を取り戻していく。

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現実を心に刻み、関心を高めてほしい

碁石海岸での清掃作業の後、昼食をとったレストハウスで交流会が持たれた。
「ガイドの会」会長 小川廣文さんは、「来てくれてありがとう。ここは観光地でもあるので、心に残るものがあればありがたい。『ガイドの会』の会員から震災で何が起きたのかを聞き、この現実を心に刻んで関心を高めてください」と期待を語った。

渡辺さんの体験談に胸が締め付けられる。

また、ここで働く渡辺久美子さんも、「私たちの知っている津波は、皆さんがテレビで見る映像と違って、わかめの養殖筏(いかだ)が流され、渦巻く海に飲み込まれる様子を目の当たりにしました。すごい恐怖感に襲われたものです。当時はパニックになってしまっていて、いまだに記憶は定かでありません」と、津波の凄まじさを語った。

愛知に帰って被災地の現状を伝えることで、支援の輪はさらに大きくなっていく。

午後には、大船渡市から陸前高田市を走る車中で、地元の復興に取り組んでいる方々から体験や今後の課題などについてお聞きした。
 
大船渡市の地区公民館の館長をしている近藤均さんは、「雇用や事業の復興は行政の支援待ちでなかなか進まない。また、仮設住宅では居住者への自立支援や精神面のケアが必要になってきた」と話した。

陸前高田市で「認知症にやさしい地域支援の会」の会長をしている菅野不二夫さんは、「コープあいちから食材やタオルの支援を受けただけでなく、現地に常駐している岩本隆憲さん(コープあいち 東日本大震災被災地支援担当)に会へ参加いただいたことで、支援がどこから来たかわかるようになった。今回、実際に被災状況や復興に向けた取り組みのありのままを見ていただき、愛知の皆さまにお伝えください」と話した。

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現状を知った私たちにできること

今回の旅に参加した、コープあいち組合員の小森隆幸さんは「何もなくなってしまった陸前高田の現状を目の当たりにし、言葉もでません。『ガイドの会』の皆さんが『この現状を伝えたい。観光でもいいからここに来て、見て欲しい』とおっしゃった気持ちがよくわかります」という。

陸前高田市の被災地を目の当たりにする参加者の皆さん。

早く現地を訪れたかったという小森さんは、地元愛知の中小企業家同友会に属していることから、「支援もその場限りのボランティアではなく、お互いにメリットのある事業をすれば雇用も生まれる。そんな仕事作りを通じた支援を考えている」と話した。
 
また、同じくコープあいち組合員の浅井清美さんは、「私はカウンセラーなので、ボランティアとして被災された方々の話を聞きたいと思っていました。がれきの片付けも進み、今後は気持ちの面での支えが必要になってくると思います。また訪問して、被災者の方々から話を聞きたい」と語った。

コープあいち 東日本大震災被災地支援担当 岩本 隆憲さん

「現地に常駐してから半年近くになりますが、現地のニーズに変化が起きています。支援ツアーの多くは、ボランティア同士の交流はあっても、被災者との交流は少ない。交流を作るには地元の支援団体に間に入っていただき、ボランティアと被災者がつながるように力を借りないと、なかなか実現しません。
メッセージをつけたタオルのお届けなどを通じた組合員の思いは、こうした関係によってつながり、被災地に届けられてきました。地元の支援団体とコープあいちがつながった協力関係を、地元の方々は「友情」と表現しています。

※この後、2011年11月9日〜11日の2泊3日の日程で、岩手県気仙地域を訪問する第2回「あなたがつなぐ復興支援」ツアーを開催し、組合員40名が参加した。第1回参加者の意見を盛り込んで、第2回はさらに被災地市民の皆さんとの交流を深めるツアーとなった。

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