厚生労働省は、2005年11月に「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」(以下「注意事項と略します」)を改訂しました。また、2010年6月に対象魚介類の追加とQ&Aの見直しを行いました。
日本生協連は、消費者に向けての注意喚起と推奨事項を加え、「魚介類・鯨類の水銀についてのQ&A」を改訂しました。
◎参考
厚生労働省:魚介類に含まれる水銀について
日本生協連:「魚介類等に含まれるメチル水銀についての食品健康影響評価」に対する意見
◎一般の方へ
特定の水産物を偏食すると有害な水銀の摂りすぎになる可能性があります。マグロ類(マグロ、カジキ)、サメ類、深海魚類、鯨類(鯨、イルカ)などメチル水銀濃度が高い水産物を主菜とする料理を週2回以内(合計で週におおむね100~200g程度以下)にすることをお勧めします。サンマ、イワシ、サバなどメチル水銀濃度が低い水産物を控える必要は特にありません。どのような食品でも、偏食は避け、バランスよく摂ることを心掛けましょう。
鯨肉のうちイルカ(歯鯨類)の肉には特に高い濃度のメチル水銀が含まれるため、ごくたまに嗜む程度にされることをお勧めします。
◎妊婦、幼児、近く妊娠を予定されている方へ
メチル水銀は特に胎児の中枢神経の発達に影響を及ぼすとされています。妊婦、幼児、近く妊娠を予定されている方は、マグロ類(マグロ、カジキ)、サメ類、深海魚類、鯨類(鯨、イルカ)などメチル水銀濃度が高い水産物を主菜とする料理を週1回以内(合計で週におおむね50~100g程度以下)にすることをお勧めします。サンマ、イワシ、サバなどメチル水銀濃度が低い水産物を控える必要は特にありません。
鯨肉のうちイルカ(歯鯨類)の肉には特に高い濃度のメチル水銀が含まれるため、妊婦、幼児、近く妊娠を予定されている方は、イルカ肉の摂取を控えることをお勧めします。なお、イルカ肉が「ミンククジラ」「クジラ」等と不適正な表示をして販売されるケースもあるのでご注意ください。
◎水銀濃度が比較的高い水産物
これらの水産物を食べてはいけないということではなく、食べ過ぎなければ問題はありません。野菜等をできるだけ多く摂り、バランスのよい食生活を心掛けましょう。
マグロ類 | クロマグロ(本マグロ)、ミナミマグロ(インドマグロ)、メバチ(メバチマグロ)、クロカジキ、メカジキ、マカジキなど |
サメ類 | ヨシキリザメ、ドチザメなど |
深海魚類等*1 | キンメダイ、ムツ、ウスメバル、ユメカサゴ、メヌケなど |
鯨類*2 | バンドウイルカ、コビレゴンドウ 、マッコウクジラ、ツチクジラ、イシイルカなど |
*1: | 通常は深海(概ね深度200m以上の海)に生息する魚類を深海魚といいますが、深海と浅海を行き来する魚類も多く、比較的浅い場所でも底性の魚介類は水銀濃度がやや高い傾向があります。 |
*2: | 鯨類:鯨類とはクジラ目に属する海産(一部は淡水産)の哺乳類の総称で、ヒゲクジラ(髭鯨)とハクジラ(歯鯨)に分けられます。髭鯨類はオキアミなどを食料とし、歯鯨類は魚介類などを食料としています。歯鯨類はやや小型で、多くはイルカと呼ばれます。 |
水銀は水俣病*1の原因物質として知られる有害重金属で、特にメチル水銀などの有機水銀は中枢神経に障害を起こします。メチル水銀は胎盤を通して胎児に移行しやすく、胎児は水銀への感受性が高いために、妊婦がメチル水銀を摂取すると胎児の中枢神経系(脳)の発達への影響が懸念されます。
WHO(世界保健機構)は水銀中毒の研究結果から、メチル水銀について暫定耐容一週摂取量(PTWI)*2を1.6μg/kg体重/week(水銀換算、以下同じ)と設定しています。食品安全委員会は厚生労働省の諮問を受けて2005年8月、妊婦をハイリスク群とし、PTWIを2.0μg/kg体重/weekとする答申を出しました*3。
*1: | 1956年頃、水俣湾周辺に発生した公害病。神経毒性、手足感覚障害、運動失調などの症状を特徴とする。原因は新日本窒素肥料(現:チッソ)水俣工場から排出されたメチル水銀。原因企業と国の責任で原因究明・対策が遅れたために被害が拡大し、多くの苦い教訓を残した。認定患者は2千人余りだが、実際の被害者は数万人とも言われる。1965年には阿賀野川流域で第二水俣病が発生した。 |
*2: | 耐容摂取量は一生涯にわたって食べ続けても健康に影響が出ないとされる量。暫定耐容一週摂取量(PTWI)は汚染物質について暫定的に設定される。WHOは胎児への影響を考慮して、メチル水銀のPTWIを2003年に3.3μg/kg体重/weekから1.6μg/kg体重/weekに引き下げた。 |
*3: | 第106回食品安全委員会 |
私たちが平均的に摂取するメチル水銀は、約8割が魚介類や鯨などの水産物の摂食に由来します。水銀(無機水銀)は天然にも海水に含まれ、海中のプランクトンによって有機水銀の一種であるメチル水銀に変換された後、食物連鎖によって海棲生物に移行します。有機水銀は生物に蓄積しやすい性質があり、また食物連鎖によって濃縮されるため、海中の食物連鎖の上位にある肉食動物ほど高い傾向があります。そのような水産物を沢山食べるとメチル水銀を多く摂取することになります。
◎食物連鎖と水銀の濃縮・蓄積
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全ての魚介類に同じようにメチル水銀が含まれるわけではありません。海の食物連鎖の上位にある動物、寿命の長い動物に高い濃度のメチル水銀が含まれます。同じ魚種でも、大きさなどによって、メチル水銀濃度は大きく異なります。水産庁などが調べた魚介類に含まれる水銀の濃度を厚生労働省がまとめた表から、水銀濃度が高い水産物(総水銀濃度の平均が0.2ppm以上、最大値が0.4ppm以上の魚介類)をまとめたものが下の図です。
厚生科学研究によれば、この10年ほどに日本人の平均的な総水銀摂取量は7~10μg/人/day程度で推移しており、その3/4をメチル水銀とすると、メチル水銀の摂取量は6~8μg/人/day程度になります。これは体重を50kgとしてWHOの設定したメチル水銀のPTWI(1.6μg/kg体重/week)から換算される11μg/人/dayの1/2~2/3程度です。したがって、平均的な食事をしていれば、ただちに水銀の影響が懸念されるほどではありません。
しかし、マグロ類(マグロ、カジキなど)、サメ類、深海魚類、鯨類(鯨、イルカ)などのメチル水銀濃度が高い食品を普通より多目に摂取するとPTWIを超えます。こうした食品を日常的に多食した場合にはPTWIを大きく超える可能性もあります。
日本では魚介類の水銀については、総水銀0.4ppm、メチル水銀0.3ppm(水銀換算)という暫定的規制値*1が設定されています。しかしマグロ類、深海魚類、淡水魚類(湖水産魚介類を除く)については適用対象外とされています。1973年に暫定的規制値が設定された際、適用除外規定が設けられたのは、高級魚種で摂取量が少ない、含有される水銀が天然由来である、健康被害の懸念がない、と当時説明されています。しかし今日では、マグロなどはすでに高級魚種とは言えず、私たちの食卓にのぼる頻度も高くなっている状況で、暫定的規制値のあり方も問われていると言えます。
*1: | 魚介類の水銀に関する食品衛生法の規格基準ありません。昭和48年厚生省通知の「魚介類の暫定的規制値」は、行政上の指導指針として位置づけられています。「運用について」に書かれている通り、超過していても法的措置はなく、自主的規制の措置が取られます。なお、ここでいう魚介類とは、一部の水産動物(鯨類)を含むものとされています。 |
2003年6月に厚生労働省から発表された注意事項は、WHOの旧PTWI(暫定耐容一週摂取量)3.3μg/kg体重/weekを基に出されていましたが、新しい注意事項は食品安全委員会が設定したPTWIの2.0μg/kg体重/weekを基に出されました。
2003年の注意事項では、消費量の多いマグロ類が対象魚種から外されていたという大きな問題点がありましたが、新しい注意事項ではマグロが追加されました。その点は改善として評価できます。また2003年の注意事項では、複数魚種の摂取について触れられていませんでしたが、新しい注意事項では按分する旨が追加されました。しかし、依然として、魚種毎の目安量を示すなどの問題点を持っています。
(下線は追加された魚種)
2003年の 注意事項 |
妊婦または妊娠している可能性のある方 |
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新しい 注意事項 |
妊婦または妊娠している可能性のある方 |
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日本生協連の推奨事項 | 妊婦、幼児、近く妊娠を予定されている方 | マグロ類(マグロ、カジキ)、サメ類、深海魚類、鯨類を主菜とする料理を週1回以内
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一般人 | マグロ類(マグロ、カジキ)、サメ類、深海魚類、鯨類を主菜とする料理を週2回以内
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1973年に暫定規制値が設定された際、厚生省環境衛生局長通知に以下のように付記されています。 しかし、実際にはこうした指導はほとんど行なわれていません。厚生労働省から出された「注意事項」については、1973年通知が実行されなかった原因も踏まえて進める必要があると考えます。
◎1973年局長通知の付記事項
「この暫定的規制値の正しい運用によって一般的には十分な安全が確保されるものであるが、妊婦および乳幼児に対しては、各方面の魚介類の調査結果と食生活の実態を考慮のうえ適切な食事指導にあたられたい。また、マグロ類その他の魚介類を多食する者についても食生活の適正な指導を行なわれたい。」
(1)魚種毎に摂食頻度が示されていることが、複雑でわかりにくい。
厚生労働省の注意事項は魚種毎に摂食目安の頻度が違い、複雑でわかりにくいものになっています。細かく魚種ごとの摂取頻度を示したとしても、消費者がいちいち覚えることは難しく、守ることができません。そのような注意事項では意味がありませんので、日本生協連では、魚の種類を大まかなグループで注意喚起するよう厚生労働省に要請してきました。しかしそれは改善されませんでした。
なお、厚生労働省は生データでは水銀濃度が高い魚種でも検体数が少ないものについて、追加データも取ることなく対象魚種から外していることも問題です。
(2)妊婦(胎児)に次いで感受性が高いと考えられる幼児や一般の人に対する注意喚起がない。
厚生労働省の注意事項では、対象をもっぱら妊婦及び妊娠の可能性のある方に限っていますが、その他の方にもメチル水銀は有害です。出生後も新生児から幼児にかけての時期はまだ脳は発達段階にあります。さらに小児の体重あたりエネルギー摂取量は成人の2倍以上であるため、体重あたりメチル水銀の摂取量も成人の2倍以上と予想されます。
幼児に対するメチル水銀の影響についての十分なデータはありませんが、胎児についで幼児の感受性が高いことは明らかであり、幼児に与える食事には、妊婦に準じた注意を払うべきであると考えられます。Q4で述べた通り、成人の平均的メチル水銀摂取量はWHOの設定したPTWI(1.6μg/kg体重/week)の1/2~2/3程度ですが、体重が半分の子供が成人と同じおかずを食べていると、PTWIの1~1.3倍のメチル水銀を摂取することになります。
成人にあっても、メチル水銀を大量に摂取すれば水俣病のような病気になります。通常の食生活では心配ありませんが、極端な偏食をすると影響が否定できません。メチル水銀の摂取によって、心血管系などへの影響が出るおそれなどを指摘する報告もあります。日本生協連では、一般成人でも、WHOが水俣病のデータから設定した旧PTWIの3.3μg/kg体重/weekを超えないようにメチル水銀の摂取を抑えるべきと考えます。
日本と同様、各国でも政府機関から魚介類のメチル水銀について注意喚起が出されていますが、米国、EU、英国では幼児も注意喚起の対象になっています。
国 | 対象者 | 注意事項の内容 |
日本 | 妊婦、妊娠の可能性のある方 | バンドウイルカ:2ヶ月に1回まで。コビレゴンドウ:2週間に1回まで。キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチ(メバチマグロ)、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラ:週に1回まで。キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ:週に2回まで |
米国 | 妊娠する可能性のある女性、妊婦、授乳中の母親、幼児 | サメ、メカジキ、サワラ、アマダイの摂取を避ける。エビ、ツナ缶、サケ、タラ、ナマズは週に340g以下。週2回魚介類を摂取する場合、ビンナガマグロを170g以下 |
EU | 妊娠する可能性のある女性、妊婦、授乳中の母親、幼児 | 大型の捕食性の魚は週に多くて1食(100g)以下。大型の捕食性の魚を食べた場合には、その週はいかなる魚も食べない。マグロを週2回以上食べない |
英国 | 妊婦、妊娠を考えている女性 | サメ、メカジキ、マカジキの摂取を避ける。1週間に中型のマグロ缶詰4個(560g)以下又はマグロステーキ2枚(280g)以下 |
16才以下の小児 | サメ、メカジキ、マカジキの摂取を避ける | |
カナダ | すべての人 | メカジキ、サメ、マグロの摂取は週に1食以下 |
幼児、妊娠可能年齢の女性 | メカジキ、サメ、マグロの摂取は月に1食以下 | |
アイルランド | 妊娠可能年齢の女性(妊娠を考えている女性)、妊婦、授乳中の母親、幼児 | サメ、メカジキ、マカジキの摂取を避ける。週にマグロステーキ1枚(8オンス、約230g)又は中型のマグロ缶詰(8オンス、約230g)を2缶まで |
その他の人 | サメ、メカジキ、マカジキの摂取を週1食以下(マグロの摂食制限は不要) | |
オーストラリア | 妊婦、妊娠を考えている女性、6歳以下の小児 | サメ、カジキ類を2週間に1食(それ以外の魚をその2週間摂食しない)、又はオレンジラフィー、ナマズを週1食(それ以外の魚をその週摂食しない)、又はその他の魚を週2~3食以下 |
その他の人 | サメ、カジキ類を週1食(それ以外の魚をその2週間摂食しない)、又はその他の魚を週2~3食以下 | |
ニュージーランド | 妊婦、妊娠を考えている女性 | サメ、エイ、カジキ、バラマンディ、ギンサワラ、オレンジラフィー、リング、ミナミマグロ、地熱水域で漁獲される魚は週に4食以下 |
ノルウェー | 妊婦 | 鯨、川カマス、パーチ(25cm以上)、マス及びイワナ(1kg以上)、サメ、カジキ、エイ、マグロを食べない |
授乳中の母親 | 鯨を食べない | |
デンマーク | 妊娠を考えている女性、妊婦、授乳中の女性、14歳未満の子供 | マグロ、スズキ、カレイ、バラムツ、メカジキ、ニシラクダザメ、カマス、パーチを週に100g未満 |
魚介類は、良質な蛋白質、多価不飽和脂肪酸、ミネラルなどが期待される食品です。胎児や幼児にとって、魚介類に含まれる多価不飽和脂肪酸などは脳の発育に大変重要な栄養素とされています。メチル水銀の濃度が高い魚介類は、マグロ類(マグロ、カジキなど)、サメ類、深海魚類、鯨類(鯨、イルカ)などにほぼ限られ、それ以外の魚介類を控える必要はないと考えられます。どのような食品でも偏食をすることは健康によくないことですが、魚介類を含め、色々な食品をバランスよく摂ることを心掛けましょう。
マグロ類や深海魚類の中でも、魚種によってメチル水銀濃度が異なり、これらのグループの魚としては濃度が低い魚種もあります。しかし、これらのグループの魚を週2回(妊婦・幼児等は週1回)摂食することは、一般的な食生活として少ないものとは考えられません。
カツオは分類上は広義のマグロ類に入る魚ですが、狭義のマグロ類やカジキ類の魚と比べて、水銀濃度が低い魚種です。したがって、カツオの摂取を減らす必要はあまりないと考えられますが、カツオをマグロ類に含めて考えていただいても差し支えはありません。
同じ魚種でも、生息している環境と魚の大きさによって水銀濃度は大きく変わります。日本でも河川産魚介類が暫定的規制値の対象外魚種になっていますが、実際には淡水魚の水銀濃度はいずれの魚種でも低く、鉱工業由来の汚染がない限りイワナなどの淡水魚は心配ありません(イワナと訳されているノルウェーの魚が淡水産とは限りません)。
マグロ類(マグロ、カジキ)、サメ類、深海魚類、鯨類(鯨、イルカ)の範囲で摂食を注意すれば、メチル水銀の摂取をある程度低減できると考えられるので、それ以上の心配される必要はないと考えます。
同じ鯨類であっても、肉食性のハクジラ(歯鯨)類(イルカ類を含む)は比較的高い水銀が検出され、プランクトンを食べているヒゲクジラ(髭鯨)類は水銀が低いことが報告されています。しかし、鯨肉類は品種を偽って販売されている例が少なくないとも報告されているため、特に妊婦の方には鯨肉類の摂食はお勧めできません。
◎市販鯨肉類の表示
(水産庁委託による日本鯨類研究所調査の2004年度分データを表にまとめた)
※表は横にスクロール可能です
実際の種*3 | 検体数 | 不適正な鯨種表示*1 | 表示の適正度*2 | ||||||||||||||||||
鯨種表示なし | (ヒゲクジラ) | (ハクジラ) | 適正表示 | 不適表示 | 不適率% | ||||||||||||||||
表示なし | 品名にクジラ | 品名にイルカ | ミンク | ニタリ | イワシ | ナガス | ゴンドウ | マ ッ コ ウ |
ツチ | アカボウ | 小型鯨類 | 有歯鯨類 | イルカ | ||||||||
ヒゲクジラ類 | セミクジラ | 3 | 1 | 2 | 1 | 33 | 37 | ||||||||||||||
ミンククジラ | 86 | 8 | 19 | 3 | 1 | 55 | 31 | 36 | (77) | ||||||||||||
クロミンク クジラ |
259 | 23 | 39 | 188 | 6 | 2 | 1 | 188
(0) |
71 (259) |
27 (100) |
|||||||||||
ニタリクジラ | 51 | 5 | 6 | 20 | 2 | 1 | 1 | 16 | 35 | 69 | |||||||||||
イワシクジラ | 65 | 4 | 7 | 22 | 1 | 31 | 34 | 52 | |||||||||||||
ザトウクジラ | 5 | 1 | 2 | 2 | 3 | 60 | |||||||||||||||
ハクジラ類 | ハナゴンドウ | 6 | 3 | 3 | 3 (0) |
3 (6) |
50 (100) |
73 (80) |
|||||||||||||
マダライルカ | 1 | 1 | 0 | 1 | 100 | ||||||||||||||||
スジイルカ | 3 | 2 | 1 | 0 | 3 | 100 | |||||||||||||||
バンドウイルカ | 1 | 1 | 0 | 1 | 100 | ||||||||||||||||
コビレゴンドウ | 14 | 6 | 5 | 3 | 3 (0) |
11
(14) |
79 (100) |
||||||||||||||
イシイルカ | 29 | 15 | 1 | 5 | 2 | 2 | 2 | 2 | 27 | 93 | |||||||||||
マッコウクジラ | 6 | 2 | 4 | 2 | 33 | ||||||||||||||||
ツチクジラ | 22 | 3 | 3 | 1 | 1 | 2 | 1 | 11 | 11 | 50 | |||||||||||
ハッブス オオギハクジラ |
4 | 1 | 1 | 1 | 1 | 0 | 4 | 100 | |||||||||||||
NG (特定できず) |
44 | 6 | 14 | 14 | 1 | 1 | 2 | 6 | |||||||||||||
合計 | 599 | 55 | 113 | 1 | 255 | 3 | 12 | 3 | 16 | 10 | 2 | 1 | 2 | 2 | 1 | 317 (123) |
238 (153) |
43
(55) |
*1: | 正しい種名が表示されているものを適正表示とした。普通はヒゲクジラ、ハクジラの別は表示されていない。 |
*2: | 類似名種等の表示(クロミンククジラ→「ミンク」、ハナゴンドウ又はコビレゴンドウ→「ゴンドウ」)を不適正としたときの値を( )内に示した。 複数種の表示(ツチクジラ→「ツチ、アカボウ」等)は入っていれば適正とした。 DNA解析結果がNGの検体は適正判定から除いた。 |
*3: | DNA鑑定により特定された種。 |
おかずの副菜や付け合わせなどに使われる食品は、たとえメチル水銀濃度が多少高くとも、食品の量が少なければ問題ないと考えられます。メチル水銀は食品中の蛋白質と結合していると考えられ、加熱調理などで減ることはありません。缶詰などになっても、あまり変わらないと考えられますが、ツナ缶は比較的メチル水銀濃度の低い種類のキハダマグロが使われていることが多いようです。加工食品を副菜に使われる場合は気にする必要はないと考えます。
厚生労働省が2003年1月に発表したクジラ類のデータによれば、総水銀では肝臓にやや多く検出されていますが、メチル水銀は内臓に比べて筋肉に比較的多く分布しているようです。魚介類も同じ脊椎動物ですから、傾向としては似ていると考えられます。
水銀は自然に存在する元素で、地殻にはもともと水銀が含まれています。海水中にも微量ながら存在し、これが食物連鎖によって濃縮されます。
新たに環境中に放出される水銀としては、人為的な要因によるもの(金の採掘や石炭の燃焼など)と自然要因によるもの(火山など)があり、主に大気中に放出されています。大気中の水銀は雨などにより地表や海に降下します。逆に、地表や海から蒸気として大気中に揮発する動きもあります。
魚介類に含まれるセレンは水銀の毒性を弱める作用を持っていることが実験的に知られています。しかし、セレンの作用によって水銀が完全に無毒化されるわけではありません。PTWIが設定される根拠になった研究でも、対象者はメチル水銀とともにセレンが含まれた魚介類を摂取していたと考えられるため、確認された影響はセレンが共存することを加味したものと言えます。
メチル水銀は蓄積性が高い(体内に溜まりやすい)物質ですが、身体から出ないわけではありません。肝臓から胆汁と一緒に腸内に排泄されたり、尿中に少しずつ排泄されます。
◎用語
<この件のお問い合わせ先>
日本生協連安全政策推進室