ベクレルとシーベルトは、放射能や放射線に関する単位ですが、おおよそ以下のように説明することができます。
| ベクレル (Bq) |
放射能の単位 | 1秒間に1回放射線を出す能力が1Bqです。同じ放射性物質なら、その物質の量と放射能は比例するので、ベクレルで表される数値の大きさは、放射性物質の量を表していると考えることができます。 |
| シーベルト (Sv) |
放射線の人体への影響度を表す単位 | 人の体が放射線を受けた時、その影響の程度を測るものさしとして使われる単位です。 体内に取り込んだ放射性物質の影響は、取り込んだ放射能(Bq)に、放射性物質ごとに定められた換算係数をかけることによって求めることができます。 なお、大気中の放射線量は、毎時0.1マイクロシーベルトなど、単位時間あたりで表わされます。 |
ミリ(m)は千分の一、マイクロ(μ)は百万分の一を表します。
| 1シーベルト=1,000ミリシーベルト=1,000,000マイクロシーベルト 0.001シーベルト=1ミリシーベルト=1,000マイクロシーベルト 0.000001シーベルト=0.001ミリシーベルト=1マイクロシーベルト |

図(2) ※画像をクリックすると拡大図(PDF)が表示されます。
図(2)「放射線被ばくの早見図」は、身の回りから受ける放射線の量を表した図です。中央の枠囲みの「1人あたりの自然放射線(年間2.4mSv)世界平均」「1人あたりの自然放射線(年間1.5mSv)日本平均」というのは、普通に生活していて自然界から受ける放射線の量です。
ふきだしの中には、世界平均の場合の被ばくの内訳が書いてあり、宇宙から0.4mSv、大地から0.5mSvとなっています。これらは体の外から放射線を受けることによる被ばくで、外部被ばくと呼ばれます。また、食物から0.3mSv、空気中のラドンから1.2mSvとなっています。これらは体内から受ける放射線(内部被ばく)です。
こうしてみると、自然に存在する食べ物や大地からも放射線が出ていて、私たちは体の中からも外からも、弱いながらも放射線を受けながら暮らしていることがわかります。
| ※1: | 図(2)の「被ばく」とは、「被曝」とも書き、放射線にさらされることを意味します。 爆撃(特に原子爆弾)を受けることを意味する「被爆」とは、異なります。 |
放射線の影響は、大きく分けて「確定的影響」と「確率的影響」の二つがあり、概要は次の通りです。
| 確定的影響 | ある程度以上の量を受けると必ず(確定的に)出る影響 | 急性障害(吐き気、脱毛等)、不妊、白内障など |
| 確率的影響 | 多くの放射線を受けると出やすくなる影響(確定的影響より少ない放射線量でも起こる) | がんや白血病のリスクの上昇 |

図(3)線量と確定的影響の関係図
確定的影響について
確定的影響は、ある程度以上の量の放射線を受けないと起こりません。影響が出るかどうかの境目になる量のことを、しきい値(または閾値)と言います。
図(2)「放射線被ばくの早見図」(Q3参照)の中の台形の中央に書かれた、白内障、一時的脱毛、造血系の機能低下などが、確定的影響です。いずれもかなりの量を被ばくした時に起こるものなので、確定的影響については、一般市民は心配する必要はないでしょう。

図(4)線量と確率的影響の関係図
(しきい値がないと仮定した場合)
確率的影響について
確率的影響については、長期的な影響として、がんのリスクが増加すると考えられています。
100mSv以上の放射線を受けた場合、がんで死亡するリスクが0.5%上がるといわれています。
100mSv以下の被ばくでは、統計的な調査では、影響があるかないかわかっていません。
放射線の影響による健康被害を防ぐため、ICRP(国際放射線防護委員会)という専門家による国際委員会の勧告をもとに、各国の放射線防護に関する法令がつくられています。ICRPの2007年の勧告では、「直線しきい値なし(LNT)モデルが放射線被ばくのリスクを管理する最もよい実用的なアプローチであり、”予防原則”にふさわしいと考える。委員会はこのLNTモデルが引き続き低線量・低線量率での放射線防護についての慎重な基礎であると考える」と述べており、しきい値がないとしたリスク管理が望ましいとしています。放射線を受ける量は、少ないに越したことはないといえるでしょう。
放射線は、体の細胞に傷をつけるため、細胞内のDNA(遺伝子)も傷がつくことがあります。がんのリスクが上がるのはこのためだと考えられています。
しかし、私たちの体のDNAは、普段から、たばこの煙や紫外線など様々な原因で傷がついています。それでも無事に過ごせているのは、細胞がDNAの傷を修復する機能を持っているためです。傷を治せなかった場合は細胞自体が死ぬことによって、傷の残った細胞が増えていくのを防ぐ機能もあります。がんにつながるのは、DNAを元通りに修復できず、細胞が死ぬこともなく、誤った形で修復してしまった細胞の一部だと考えられています。私たちの体には、ある程度は対応する機能があるのです。
健康のためには、放射線を受ける量は少ない方が良いことは当然です。
しかしながら、被ばく量だけに着目して対応を行うと、そのことにより、他のデメリットが生じることがあるため、様々な事情を考慮して、「合理的に達成できる限り被ばく量を低く保つ」ことが必要だと言われています。
放射線の被ばくのしかたには、「外部被ばく」と「内部被ばく」があります。
| 自然放射線によるものの例 | 人工放射線によるものの例 | |||||
| 外部被ばく 体の外にある放射性物質から放出された放射線を受けること |
大地からの放射線や宇宙からの放射線を受けること |
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| 内部被ばく 体の中にある放射性物質から放出された放射線を自分が受けること |
空気中のラドン(気体の一種)や食物に含まれる放射性カリウム(自然にそもそも含まれている)による被ばく | 原子力発電所の事故後、周辺地域の農畜産物に付着、混入した放射性ヨウ素や放射性セシウムを含んだ食品を食べて起こる |

このように、放射性物質を含んだ食品を食べると、内部被ばくすることになりますが、「シーベルト」で表した数値が同じならば、人体に及ぼす影響は、外部被ばくも内部被ばくも同じです。シーベルトは人体への影響を表す単位として換算された値であるためです。
※体の中に入った放射性物質の影響は、Q8参照

放射性物質は、放射線を出すとより安定な物質に変わります。そのため時間がたつと量が減っていきます。放射性物質の量が半分になる期間を半減期(物理的半減期)と言い、物質ごとに決まっています。
ヨウ素131の場合は、約8日間で半分に、16日間で1/4に、24日間で1/8になります。セシウム137は半減期が長いため、土壌など環境中に多く含まれると、農作物への移行等が心配されます。これについては土の入れ替えなど様々な対策が進められています。
今後の対策やモニタリング結果などを注視していきたいものです。

放射性物質は、一度、体に入っても、その量はだんだん減っていきます。これは、放射性物質自体が時間とともに減っていくことと、汗・尿・便などと一緒に体の外に出て行くことの2つの影響によるものです。汗や尿・便などの排せつにより、体の外に出て行って体内の放射性物質が半分になる期間のことを生物学的半減期と言います。
食品による被ばくは、内部被ばくであるため、ずっと体に残るので特に危ないのではないかと心配する声も聞かれますが、体に入った放射性物質は、こうしてだんだん減り、最後には、なくなってしまいます。減り続ける間は放射線を出し続けるので、この放射線量を合計した数値(シーベルト)をもとに、食品の基準値(ベクレル)を設定しています。
現在、各地方自治体により食品の放射性物質のモニタリング検査が行われています。検査計画については、過去の検査結果から、放射性セシウムが検出された地域・品目を重点的に実施するしくみになっています。モニタリング検査の結果は厚生労働省のホームページで公表されるとともに、2012年4月からは新基準値で管理されます。
【参考】
■厚生労働省 食品中の放射性物質への対応
この4月から新しくなるのは、放射性セシウムの基準値です。この基準値は、放射性セシウムだけでなく、放射性ストロンチウムやプルトニウムなどの影響も含めて検討し、設定されたものです。新しい基準値の食品の区分は、これまでの5分類から「一般食品」「牛乳」「乳児用食品」「飲料水」の4分類になり、数値は暫定規制値に比べて厳しくなりました。

【参考】
■厚生労働省 食品中の放射性物質の新たな基準値について
今回の基準値は、食品安全委員会が2011年10月にとりまとめた「食品中に含まれる放射性物質の食品健康影響評価」をふまえて設定されました。この評価書では、(1)生涯の実効線量※が100ミリシーベルト以上で放射線による健康影響の可能性がある、(2)小児の期間は感受性が成人より高い可能性がある、(3)100ミリシーベルト未満の健康影響を言及することは困難、としています。
これを受け厚生労働省で定められたのが、この4月から導入される基準値です。この新しい基準値は、食品に含まれる放射性セシウムなどによる内部被ばくが年間1ミリシーベルト以内になるように設定されました。これまでの規制値では、年間5ミリシーベルト以下としていましたから、厳しくなったといえます。
厚生労働省の資料によると、年間1ミリシーベルトの根拠として以下のことが挙げられています。
※自然放射線や医療被ばくによる放射線は除き、一生涯受け続ける放射線の累積量
【参考】
■食品安全委員会 食品中に含まれる放射性物質の食品健康影響評価の概要
■厚生労働省 食品中の放射性物質の新たな基準値について
新しい基準値を海外の基準と比べると下の表のようになります。
(単位:ベクレル/kg)
| コーデックス (国際機関) |
EU | 米国 | 日本 新基準 (2012年4月〜※) |
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| 基準値 (放射性セシウム) |
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1200 |
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| 設定の考え方 | 被ばく限度は年間1ミリシーベルトまで。 食品中10%までが汚染エリアと仮定。 |
被ばく限度は年間1ミリシーベルトまで。 食品中の10%が汚染されていると仮定。 |
被ばく限度は年間5ミリシーベルトまで。 食品中の30%が汚染されていると仮定。 |
被ばく限度は年間1ミリシーベルトまで。 一般食品は50%、牛乳・乳製品と乳児用食品は100%が汚染されていると仮定。 |
※一部品目は経過措置を適用
日本の新しい基準値の被ばく限度の設定は、コーデックス委員会(国際機関)やEUと同じですが、食品の汚染率の設定が異なるため、基準値が違います。
ただ、これまでの食品のモニタリング結果からは、日本の食品の汚染率は50%よりもはるかに低い値になっています。たとえば、厚生労働省が公表している検査結果では、2012年2月は、約17,000件の検査が行われており、そのほとんどが検出限界値未満でした(90%以上)。
なお、チェルノブイリ原子力発電所事故があった旧ソ連のベラルーシでは、事故1年目(1986年)は、外部被ばく・内部被ばく全体の被ばく限度を100ミリシーベルトと設定されましたが、その後、段階的に引き下げられ、1992年に内部被ばくが年間1ミリシーベルトを越えないよう設定されました。1999年以降のベラルーシの放射性セシウムの基準値は、牛肉は500ベクレル/kg、牛乳は100ベクレル/L、パンや果物などは40ベクレル/kg、子ども用食品37ベクレル/kgなど、品目によって日本より高い値も、低い値もあります。
【参考】
海外の基準について
■厚生労働省薬事食品衛生審議会食品衛生分科会 主な論点と対応の方向
食品のモニタリング結果について
■厚生労働省 食品中の放射性物質に関する検査結果 月別検査結果
■一般社団法人 日本乳業協会 牛乳の放射性物質検査結果について
暫定規制値は事故後の緊急的対応として定められたものでした。緊急時から復旧期への移行にあたり長期的な状況に対応するよう国民の被ばく量をできるだけ低くおさえ、食品への安心を確保するために新しい基準値が定められました。
暫定規制値は、放射線による健康被害を防ぐために原子力安全委員会が定めていた「飲食物摂取制限に関する指標」をもとに定められたものです。暫定規制値について食品安全委員会は、2011年3月に公表した「緊急とりまとめ」で、「相当な安全性を見込んだもの」「かなり安全側に立ったもの」という見解を出しています。
なお、これまでのモニタリング検査の結果では、実際に出回っている食品は放射性物質が検出されないものの方が多く、そのため、暫定規制値を継続した場合でも、被ばく線量の推計値は年間0.051ミリシーベルト、新基準値にした場合は年間0.043ミリシーベルトとされています(いずれも中央値)。
【参考】
■モニタリング検査結果は、厚生労働省「食品中の放射性物質に関する検査結果 月別検査結果」
■暫定規制値を継続した場合と新基準値にした場合の被ばく線量の推計は、厚生労働省「食品中の放射性物質に係る規格基準の設定について」(11ページに推計値)
今回の原発事故で環境中に放射性物質が放出されました。原発の事故がなければ、放射性セシウムなどの物質がこれほど環境中に存在することはありませんでした。
ただ、私たちが浴びている放射線は、今回の事故で放出された放射性物質だけによるものではありません。食べ物に含まれているカリウムという元素の中には、わずかですがカリウム40という放射性物質が含まれています。また、宇宙から届く放射線、空気中に含まれるラドンなどのガスからも被ばくしています。生活環境内には、過去の核実験による放射性物質も存在しています。
健康のためには、受ける放射線の量は、少ない方が良いと考えられます。しかしながら、被ばく量を下げることだけに着目して対応を行うと、そのために、莫大な費用がかかったり、別の健康リスクが発生するなど、他のデメリットが生じることもあるため、国際的には、様々な事情を考慮して「合理的に達成できる限り被ばく量を低く保つ」ことが重要だと言われています。事故が起こってしまったことを考えると、外部被ばくと内部被ばくの両方を考えた上で、どれぐらいを目標として管理していくのが適当なのかを考える必要が生じます。また、その際には、現実の被ばく量に関する十分な情報が必要です。
食品の管理については、実際の汚染状況を正しく把握・管理し、生産段階からコントロールしていくことが重要です。
厚生労働省や大学など複数の機関による調査が進み、実際の被ばく量についてもだんだんわかってきました。また、生協でも調査を進めています。
厚生労働省が2011年10月に公表した調査(流通している食品を購入して放射性セシウムの量を測定し、日本人の平均の食品摂取量に従って1年間食べた場合の被ばく量を推計したもの)では、福島では年間0.02ミリシーベルト、東京では0.003ミリシーベルトという結果でした。
日本生協連と会員生協が、共同で実施した「実際の食事に含まれる放射性物質調査」(2012年3月27日発表)は、ご協力いただく家庭で家族人数より1食分多く食事を作ってもらい、その2日分(6食分と間食)を混合して測定するというものでした。この調査結果では、237サンプル中226サンプルからは、検出限界(1ベクレル/kg)以上の放射性セシウムは検出されませんでした。これは全体の95%にあたります。1kgあたり1ベクレル以上の検出が見られたのは11件で、この11家庭のサンプルと同じ食事を1年間継続して食べたと仮定した場合、食事からの内部被ばく線量は、0.019〜0.136ミリシーベルトと推定されました。
なお、原発事故に関係なく食品中に含まれる放射性カリウム(カリウム40)は、すべてのサンプルから検出されました。結果は15〜56Bq/kg 、1年間の内部被ばく線量は0.05mSv〜0.38mSvでした。
食品からの実際の被ばく量については、これからも注目していきたいものです。
【参考】
■厚生労働省 「食品からの放射性物質の一日摂取量の推定について」
■日本生協連 家庭の食事からの放射性物質摂取量調査結果について
■京都大学医学研究科環境衛生学分野 福島県成人住民の放射性セシウムへの経口、吸入被ばくの予備的評価
新しい基準値は、どの年齢層でも、年間被ばく線量が1ミリシーベルト以下に収まるように定められました。年間の被ばく量を1ミリシーベルト以下にするには食品1kgあたり何ベクレルまでが限度か、という限度値を乳児も含めて各年齢・性別ごとに算出したものをもとに一般食品の基準値が定められました。そのため、一般食品に分類される食品で離乳食を作っても、問題ないでしょう。
【参考】
■厚生労働省 食品中の放射性物質の新たな基準値について
今回の東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う食品の放射性物質問題について、日本生協連の基本的な考え方は以下の通りです。
※日本生協連の取り組みについては、こちら
<この件のお問い合わせ先>
日本生協連組合員活動部 