ビスフェノールA問題についてのQ&A

●「ビスフェノールAと日本生協連の対応」の概略

 ビスフェノールAは、主にプラスチック(ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂等)の原料として利用されていますが、食品用容器や缶詰めの内面塗装から容器内の飲食物へ移行することがあり、微量ですが、人間が摂取する可能性がある物質です。
 1996年『奪われし未来(Our Stolen Future)』*の出版を契機に、日本国内でも大きく取り上げられました。環境省、厚労省等では内分泌かく乱化学物資(いわゆる環境ホルモン)問題として調査研究を開始しました。ビスフェノールAもその化学物質の一つです。
 *著者:シーア コルボーン他  日本版刊行 1997年9月
 
 これを受けて、ビスフェノールAは、食品衛生法により、ポリカーボネート樹脂からの溶出規制が行われています。また、製缶業界等ではエポキシ樹脂について自主的なガイドラインを決めて、低減措置を行っています。
 しかし、近年、ビスフェノールAは、きわめて微量でも動物の胎児等に影響が生じることがあるという報告があり、これを受けて欧米諸国でもさらに評価を行い、日本でも食品安全委員会が評価を行っているところです。
 そこで、厚生労働省は、公衆衛生の見地からビスフェノールAの摂取はできるだけ減らすことが望ましいとしており、関連事業者に自主的な取り組みを要請するとともに、妊娠中の方や乳幼児のいる方に注意を呼びかけています。
 
 日本生協連は、これまで、コープ商品缶詰の内面塗装に使う樹脂の変更を行うなど、対策を行ってきました。今後も引き続き、検討を進めます。特に海外産缶詰については、コープ商品のデータを調べて確認することや現地情報の収集に努め、管理を進めていきます。
 
 厚生労働省食品安全部基準審査課はホ−ムページに「ビスフェノールAについてのQ&A」記述しており、そのメッセージ(要約)を引用します。
 『現在までの研究成果から、胎児や乳幼児については注意が必要だといわれています。これは胎児や乳幼児はビスフェノールAを無毒化する能力が低い上、身体機能が発達途上で影響を受けやすいとされているからですが、胎児や乳幼児以外については、特に影響があるとは言われていません。
 したがって、みなさまには以下の点に気をつけることをお勧めします。
 
乳幼児のいる方へ・・・ポリカーボネート製の哺乳瓶で授乳をしている方は、製品の取り扱い説明書に記載されている注意事項をよく守って使用してください。細かい注意事項を守ることが難しい場合は、哺乳瓶をガラス製等に替えることも、ひとつの方法です。
 
妊娠中の方へ・・・妊娠中は、毎食缶詰中心の食生活にならないようにしましょう。いろいろな食品をバランス良く食べるようにしましょう。』

●ビスフェノールAについてのQ&A

2010年12月28日作成
Q1
ビスフェノールAとは何ですか?

 ビスフェノールAはプラスチック容器(哺乳瓶、コップ等)に用いられるポリカーボネート樹脂や缶詰めの内面塗装に用いられるエポキシ樹脂の原材料として使用されています。

 また、ポリ塩化ビニルやフェノール樹脂の安定剤やその他の樹脂の酸化防止剤などに使用されています。

Q2
ビスフェノールAは、どのようにして体内に取り込まれるのですか?

 食品容器の樹脂中に残留したビスフェノールAが溶け出し、食品に移行し、その食品を摂取することが主に考えられます。

Q3
ビスフェノールAの安全性には問題はないのですか?

 ビスフェノールAについては、既に動物を用いて毒性と発がん性についての試験が実施されています。欧米では、それらの試験に基づき、人が一生の間、毎日摂取してもこれ以下ならば健康に影響は受けないとされる「耐容一日摂取量」を体重1kg当たり0.05mg(0.05mg/kg体重/日)としています(体重50kgの人では、一日に2.5mgまでは摂取しても、特に問題はないということになります)。

 なお、日本及び欧州では、最近のビスフェノールA関連の報告に検討を加えつつも、現段階で耐容一日摂取量の変更は行っていません。

Q4
今回、ビスフェノールAの何が問題とされたのですか?

 ビスフェノールAが、これまでの試験では認められなかった極めて低い濃度で、動物の胎児や産仔に対し、神経の発達等に影響を示すという報告が一部の研究者から出されています。

 厚生労働省は、2008年7月に食品安全委員会に対してリスク評価(食品健康影響評価)を依頼しました。食品安全委員会で現在、検討が行われています。

Q5
ビスフェノールAについて、法律ではどのように規制されているのですか?

 現在、食品衛生法では、ポリカーボネート樹脂製の食品容器そのものに含まれる量と容器から溶出する量について、ビスフェノールAの規制が行われています。ビスフェノールAは、上記(Q3参照)耐容一日摂取量に基づき、材料中の量や溶出する量が定められています。

・材質中の量=500ppm以下
・製品から溶出する量=2.5ppm以下

 金属缶の内面塗装に使われるエポキシ樹脂については、ビスフェノールAの溶出量等についての食品衛生法の規制はありません。

Q6
容器包装メーカー等はビスフェノールAの問題にどのような対応をしているのですか?

 ポリカーボネート樹脂については、業界自主基準としては、ポリカーボネート樹脂技術研究会が自主規格を定めており、食品の容器包装に用いられるポリカーボネートの材質中の量として250ppm以下としています。

 また、缶詰や飲料用の缶の内面塗装から溶出するビスフェノールAについては、法律での規格基準はありませんが、業界自主基準としては、日本製缶協会が2008年7月に「食品缶詰用金属缶に関するビスフェノールA低減缶ガイドライン」を定めており、飲料缶で0.005ppm以下、食品缶で0.01ppm以下をめざして低減させています。国内の製缶業界は既に対策を済ませており、溶出の可能性が高い高温での殺菌を行うものでも溶出量は0.01ppm以下、飲料缶は0.005ppm以下となっているようです。

Q7
日本生協連で取り扱っている海外製造の缶詰でのビスフェノールAの溶出量はどうなっていますか?

 今年度、日本生協連で調べた結果は下記のとおりです。

 フルーツ缶詰め類 検出せず、マッシュルーム缶類 0.007〜0.009ppm、
 トマト類 0.023〜0.029ppm、ミートソース0.013〜0.025ppm、
 ツナ缶類0.036〜0.051ppm

Q8
日本生協連では、なぜ、ビスフェノールAの溶出が問題になりうる輸入缶詰を取り扱っているのですか?

 輸入缶詰は、品質や価格、量の確保の面で国内製造品よりも優れている場合があり、またイタリア産トマト缶のように原料の品種等に特徴があるような商品では、現地でしか製造が出来ないものもあります。さらに、容器だけ日本から製造国に持ち込むことは難しく、現地の容器工場の管理レベルに合わせざるを得ない面もあります。当面は、溶出量のモニタリングをしながら個別に対策を検討することにしています。

 実態を見てみると輸入缶詰めの中には国内の業界目標に達していないものがありますが、今回最大値の検査結果となったツナ缶でもTDI(耐容一日摂取量0.05mg/kg体重/日)を十分に下回る程度であり、現時点では問題ないと考えられます。

Q9
海外の動向はどうなっていますか?

 ヨーロッパでは、EFSA(欧州食品安全機関)が最近報告された研究結果について検討していますが、ヒトへの影響があるとは評価できないとしています。ただし、さらに新しい知見があった場合は再検討するとのことです。

 米国では、FDA(食品医薬品局)が業界等の低減努力を支援しています。同時に、缶詰めへの溶出はあるものの、安定的に食材を提供する有用な方法であるとして利用禁止は勧めないとしています。

 カナダ(保健省)では、ポリカーボネート製の哺乳瓶は販売が禁止されたものの、食品による健康リスクが生じるとは考えられないとしています。

 すなわち、欧米の多くの地域で日本と同じ状況と考えられます。

Q10
消費者はどのように気をつけたらよいのでしょうか?

 大人の方には問題となるデータはでていません。妊娠中の方等は、バランスのよい食事を心がけることをおすすめします。

 また乳幼児のいるご家庭もご不安が大きいと思われますが、ポリカーボネート製の哺乳瓶を使い続ける場合は哺乳瓶にキズがつくほど洗い過ぎないこと、過剰に加熱殺菌をしないよう心がけていただくか、他の樹脂製やガラス製に交換していただきたいと思います。

<この件のお問い合わせ先>

 日本生協連 品質保証部 電話 03-5778-8032

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